2009年12月29日火曜日

『子供の貧困』

阿部彩さんという人の『子供の貧困』を読んでいます。

日本はOECD諸国の中で相対的貧困率(全所得の中央値の半分以下の人の割合)の高さがアメリカに次いで2位(15.3%)ですが、これは子供にも当然影響することであるという趣旨のことが述べられています。

著者の主張として、「子どもの基本的な成長にかかわる医療、基本的衣食住、少なくとも義務教育、そしてほぼ普遍的になった高校教育(生活)へのアクセスを、すべての子どもが享受するべきである。」であったり、「たとえ「完全な平等」を達成することが不可能だとしても、それを「いたしかたがない」と許容するのではなく、少しでも、そうでなくなる方向に向かうように努力するのが社会の姿勢として必要ではないだろうか」として言っています。

また、次のようにも言っています。「何割かの子どもが将来に向けて希望をもてず、努力を怠るようなこととなれば、社会全体として活力が減少する。」
今の日本の子どもは将来に対して明るいイメージを抱いている子が少ないと以前何かの記事で読みましたが、雇用情勢の悪化が子どもの将来観にも影響しているのだろうなと思います。

そういえば、今日の新聞で職業能力を数値化するように政府が動くという記事が載っていました。いいことだと思います。

2009年12月27日日曜日

『教育の職業的意義』

最近本田由紀さんの『教育の職業的意義』を読んでいます。

従来、教育は人格形成という目的が先立ち職業的な技能を積むということは求められてきませんでしたが、非正規社員が増加していることや、技能形成もできないまま社会に出た若者が過酷な労働を強いられる現状を見て、教育に職業的技能を形成するという本来の機能を担わせるべきであると著書は述べています。

これまでの企業による技能形成があるという前提は非正規社員には当てはまらない場合が多く、正社員に関しても投資を控えるようになってきている状況をみると、これは正当な意見であると思います。

最近はグリーンニューディールに倣って環境関連で雇用を生み出そうというする動きもみられていますが、雇用状況は厳しい状況が続いているように思います。今後人口の大半を占める労働者が自分たちの権利を守るためには教育において職業的技能を形成する側面を担わせる必要は大いにあると思います。